バカ姉弟最高!
この安達哲って言う人の細かな心理描写やキャラの動きとかが凄く面白い。
絵も良い。
多分この著者、美大か何かを出て、絵の専門的な教育を受けた方なのだと思います。
それはこの作者の作品によく出てくるエピソードから容易に想像することができます。
このバカ姉弟という作品の中では、作者の日本画に対する傾倒を、その絵から読み取ることができます。
デッサンの様な大まかなラインしか書いていないように見えて、実は着物の線とか和服を着た人物のポーズとかに強いこだわりを垣間見る事が出来ます。
そういえば以前の作品、「さくらの唄」の中で画家を志す主人公が
「このガラスのコップの中の水に浮かぶ氷が上手く描けない!」
などと言う経験談なのかと勘ぐってしまう様な科白がありました。
(そりゃ難しそうだわな・・。)
一時期、「さくらの唄」や「お天気お姉さん」「しあわせのひこうき雲」と言った作品で、
この作者は完全にエログロの世界に行ってしまったのかとファンを不安にさせましたが、この作品ではエログロな描写は完全に消え、純粋?な癒し作品になっております。
この作品の主人公は豊島区巣鴨在住の推定3歳の姉弟と言う設定なのだけど、
本当はこの作者の理想的な恋愛感なんじゃないかと僕は勘ぐっています。
この作者の作品には姉と弟と言うテーマを度々感じます。
「さくらの唄」ではそのテーマがグロい不健全な形として描かれましたが、
今回のこの作品では3歳児に置き換えられて、恋愛ではないのですが、
世間の諸々とはまったく別に、自分達2人だけの価値観で勝手に遊んでるという空気が、なんだか恋人同士の空気にも似ている様に感じます。
夜、部屋でふたり、「さて、今日は何して遊ぶ?」みたいな自由な空気がたまらなく魅力的。
恋愛感ではなく、人生観と言ってもいいかも。
なんだか難しそうな書き方になってしまったけど、
この作品はあくまでも癒し系ギャグ漫画なので、難しいこと考えずともただ単に楽しめます。笑いの部分がこれまたこの作者独特のセンスで他のギャグ漫画とは違う笑いだけれどね。
勝手気ままに生きるこのバカ姉弟の2人を見て、周囲の人が勝手に悟りを見出していく様が面白い。笑える。
「笑える毒 あります」
「笑った。そして癒された。それからじんわり考えた。」
「元気 けれども冷静に状況把握」
「勝手 気まま 周囲も悟る」
「警戒、疑念のまなざしを持つ3歳児」
そんな言葉が浮かぶ作品。
ー追記ー
この作者の漫画は好きで全て読んでます。
時が経つのは早いもので、高校生の頃、「キラキラ」や「ホワイトアルバム」なんかを読んで感極まっていたなぁ〜・・・。w
それにしても「バカ姉弟」、姉弟と書いて「きょうだい」と読むのですね・・。
頭の中でずっと「バカしてい」とか読んでた。orz
なんて読むのだろう?っとずっと・・・・。
実際、「きょうだい」で漢字変換しても出てこないのだよね。
僕は普段から漢字の読みマチガエを指摘される事が凄く多い。
それにしても漢字に弱い。
この作者の作品の事でよく言われることのの一つに、
「擬音の面白さ」がある。
『ジョジョの奇妙な冒険』の作者「荒木飛呂彦」や『ぼのぼの』の作者「いがらしみきお」も特殊な擬音を使うことで知られているが、安達哲もまた、擬音に並々ならぬこだわりを感じる。
個人的には、バカ姉弟1巻の中でツボ押し器で御寧が弟をうっかり気絶させてしまった時の気絶音「コトリ」、
栄養ドリンクを飲んだ御寧の目が光るときの擬音「ラーン」が好き。
ちなみに「ぼのぼの」の中でぼのぼのがダッシュする時の擬音「びゅばーす」も僕の頭から離れない。